賃料の当然減額
本年の民法改正に伴い民法第611条に条文が追加され賃料の減額範囲が明確に広がりました。
物件の不具合時に賃料はいくら減額される?
第六百十一条
(賃借物の一部滅失による賃料の減額請求等)
民法改正前
賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。
2(略)
民法改正後
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。22(略)
改正前は「滅失」だけの文言でしたが、改正後は、『滅失そのほかの事由により使用及び収益をすることができなくなった場合』となっていて明らかに減額範囲が広がる条文になっています。また、賃借人が賃料減額請求の意思表示をしなくても賃料が当然に減額されることを規定しました。
それでは、実際に使用及び収益をすることが出来なくなった場合はいくらの減額をしなければならないでしょう?
賃料が当然に減額されるといっても物件の一部が「使用及び収益をすることができなくなった場合」に該当するかどうか、また、「使用及び収益をすることができなくなった部分の割合」割合判断はとても困難ですし、各個別要因がありますので、実際にはケースバイケースになります。実際に私が数十年間の中での経験でも正にケースバイケースでした。湿気により壁一面にカビが発生していても退去時に初めてお話をされ減額等のお話等一切されない方、一部のカビで裁判所に調停を申し出る方もいました。各状況において人それぞれ感覚の違いもあります。
平成 30 年3月国土交通省が実施作成した「重層的住宅セーフティネット構築支援事業(賃貸住宅関連・連携円滑化支援事業)」の中で、民間賃貸住宅の相談を受ける関係において、役立てる為の参考資料に下記一覧表があります。
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